麻薬・覚せい剤とは
麻薬とは、脳内に作用し、多幸感・幻覚などをもたらす薬物のうち、依存性や毒性が強く健康を害する恐れや社会に悪影響を及ぼすため、国家等によって指定され、単純所持が禁じられている薬物です。
覚せい剤は、日本で麻黄(マオウ)という植物から抽出されたエフェドリン等を原料として、化学的に合成して造られており、その人格破壊などの危険性、依存性、流行性から、日本の薬物乱用対策上、もっとも有害視されている薬物です。覚せい剤、麻薬等の使用、所持等は法律により厳しく禁止されています。なお、日本で発見される覚せい剤はほぼすべて国外で製造され、密輸入されたものです。
最近の薬物乱用の特徴
最近の薬物乱用の特徴としては、乱用者が従来の成人層から青年層、中高生に広がっていること、携帯電話やインターネットを使った入手方法の普及などが挙げられます。中高生には、特に同性の友人から「痩せられる」「寝ないで勉強できる」などと誘われることによって広がる傾向があると報告されています。
乱用薬物の種類
麻薬
・あへん、ヘロイン
けしから採取される生あへんにはモルヒネ、コデイン等のアルカロイドを含有しています。ヘロインはモルヒネから作られています。モルヒネやペチジンは鎮痛剤として、病院・診療所等の医療現場で不可欠な医薬品として使用されています。しかし、ヘロインは心身への影響が非常に強いので医学的な使用も禁止されています。
・LSD
わずかな量でも異常感をきたす幻覚剤です。色彩感覚が変化し、幻聴が起こり、空間がゆがんで見えたり、すべての感覚・精神に異常をきたします。
・コカイン
コカという灌木の葉が原料です。粉末結晶状のものを主に鼻から直接吸引します。興奮作用があり、作用が迅速で強烈な分、毒性も強く、死に至ることもあります。
覚せい剤
一般には、白色の粉末又は無色透明の結晶で臭いはなく、やや苦みがあると言われています。
現在、売人や常用者の間では、「シャブ」「S(エス)」「スピード」「やせ薬」などと呼ばれています。また、カラフルでラムネのような形をした「エクスタシー」と呼ばれる幻覚作用の強いMDMA(合成麻薬)や、「ヤーマ」「ヤーバ」と呼ばれる錠剤型の覚せい剤もあります。
大麻、マリファナ
アサの花、茎、種子、葉などを乾燥し切り刻んで作られる薬物。ヘロインやコカインなどの麻薬とは法律的にも定義が異なるが、日本での 栽培、所持は法律で禁止されています。
その他
・有機溶剤(シンナー・トルエン・接着剤)
シンナー、トルエンなどの有機溶剤は、接着剤あるいは溶媒として塗装、接着などの目的に使用されていますが、これらの有機化合物を高濃 度、急性に、あるいは慢性的に吸引した結果、神経系を含むさまざまな臓器に障害を生じ、俗にシンナー中毒といわれ、故意にシンナーを吸引する行為を俗に「アンパン(遊び)」と呼ばれています。
・違法(脱法)ドラッグ
麻薬と同じ危険な幻覚作用を持ちながら、化学構造が違うことから、現時点で違法とされていないもの。商品名で200種類以上のものが出回っており、法律規制が急がれています。
・ガスパン
通称「ガスパン遊び」と呼ばれ、ライター等のブタンガスを吸引する行為。シンナー同様、きわめて危険で既に多くの死亡事故や爆発事故が起きています。
薬物乱用による害
たった1回の乱用でも命取り
覚せい剤や麻薬等は、それを乱用する人間の精神や身体をボロボロにし、人間としての生活を営むことをできなくするだけでなく、場合によっては1回の乱用でも死亡することもあります。
また、薬物の吸引による幻覚・妄想が、殺人、放火等の凶悪な犯罪や交通事故を引き起こすことがあるなど、乱用者本人のみならず、周囲の人々、さらには社会全体に対しても、取り返しのつかない被害をおよぼしかねないものです。
麻薬、覚せい剤等の乱用の害は、半永久的に続くと言われています。薬物の乱用でひとたび幻覚や妄想等の症状が生じると、治療によって表面上は回復しているかに見えても、これらの症状が再び起こりやすい下地が残ってしまうのです。要するに1回でも乱用すると、中枢神経を冒されて脳や体がメチャクチャになります。
【主な心身の障害】
脳…大脳の神経細胞の死滅による脳の委縮(意識障害、脳出血、記憶力低下、幻覚、妄想)
目…視力低下、失明
歯…歯が抜けてぼろぼろに
肝臓…細胞の一部が死ぬ
骨髄…赤血球がつくられなくなる
その他…心臓発作、呼吸不全、けいれん発作など
また、乱用をやめて、普通の生活に戻ったようでも、飲酒、心的ストレス等ほんの小さなきっかけで突然、地獄のような苦しみを伴う幻覚、妄想等が再熱することがあります。これを「フラッシュバック現象」といいます。
薬物乱用に対する処罰
覚せい剤等の薬物乱用は犯罪です。その罰則には国によって違いがありますが、乱用者個人の問題だけでなく社会秩序を乱す問題であり、どの国でも大変厳しい罰則があります。最高の刑は死刑という国も多くあります。日本では法律で禁じられている薬物をたとえ1回でも使用したり、少量でも所持していたり、譲渡したり、譲受けても逮捕されます。覚せい剤の使用、所持、譲渡し、譲受けは、10年以下の懲役刑で重い処罰を受けることになっています。
リンク集
【麻薬・覚せい剤に関するサイト】
薬物乱用の害やおそろしさについて説明しているサイト。
財団法人 麻薬・覚せい剤乱用防止センターのサイト。覚せい剤が健康に及ぼす影響などをわかりやすく紹介。
[メンタルヘルス]All Aboutでの、中嶋泰憲氏の薬物依存に関するガイド。
大分県警のサイト。薬物の害やMDMA等について解説。
麻薬取締官への電話またはメールによる情報提供および相談窓口。
【薬物中毒の恐ろしさ、虚しさを表現した映画】
『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000年アメリカ、監督=ダレン・アロノフスキー)
普通の生活をしていた人々が、麻薬により崩壊してゆく様を描いた衝撃作。麻薬中毒から抜け出せず、地獄のような結末に至る主人公たちを赤裸々に映し出す。出演 ジャレッド・レト、エレン・バースティン、ジェニファー・コネリー。
『DRAG』(2001年日本、監督=菅原浩志)
映画関係者らで作る市民団体が企画した薬物防止キャンペーン映画。評論家の細川隆一郎氏と、元早大総長の西原春夫氏らが中心となって、入念な実地調査と、豪華俳優陣の共演で、若者にしのびよる薬物の恐ろしさを描いた作品。 出演 黒須麻耶、徳山秀典、高橋恵子、蟹江敬三、樹木希林、坂上二郎、司葉子。